ペイオフと牛丼

社長「三井三菱銀行に預けてる８０００万円ほどの預金は、バイオフではどうなるんでっか？」
槇　「そんな名前の銀行ありましたかね？それとバイオフと違います。ペイオフです。」
社長「そんなこと、どっちでもよろしいがな。それよりどうなりますねん？」
槇　「そらバイオフやから、バイバイ、預金もバイバイ、というところですかね。」
社長「バイオフと違うんでっしゃろ。ペイオフですやろ。寒くなるおやじギャグはやめて
　　　ちゃんと教えてや。」
槇　「自分の預金のことも心配やから、ちゃんと調べてあります。今から説明しますがな。」
社長「槇さんの預金は、心配せんでエエがな。この前一緒に飲んだとき、住宅ローンの１割も預金
　　　　はあれへん、って言ってたがな。」
槇　「急用を思い出したんで、帰りますわ。」
社長「その急用って、下手なゴルフの練習と違うか。そんな時間の無駄遣いやめときや。それより
　　　　気になってるペイオフの説明せんかったら、帰せへんで。」
槇　「税理士を脅して、長生きした経営者は、いてませんで。」
社長「分かったからペイオフやがな！」
槇　「そんなに焦らんでも、その銀行は、すぐには潰れませんやろ。」
社長「経営者は、先手、先手と手を打たないとアカンのや！槇さんは、ボーとしてるから儲けられ
　　　　へんのや。」
槇　「人のことは、ほっといて下さい。」
社長「で、いつから変わりますんや？」
槇　「それは、２００２年の４月からですわ。」
社長「西暦で言われたら分からへん。平成になおすと１２年か？」
槇　「平成１２年は、去年ですよ。」
社長「やっぱり数字に強いなー。」
槇　「この位のこと、小学生でも分かりますで。」
社長「当然、お世辞やがな。」
槇　「ムッ。………。平成１４年つまり来年の４月からです。」
社長「ということは、どうなりまんねん」
槇　「これだけ説明してもわかりませんか。」
社長「まだ何にも聞いてないがな。ひょっとしたら、ペイオフのこと何にも知らんねんな。」
槇　「疑ってはいけません。社長と私とは昔から強い信頼関係が有るでしょ。」
社長「槇さんとの信頼は、じゃまやったから先週の大きなゴミの日に出しといたわ。」
槇　「簡単にほったらあきませんがな。」
社長「手を抜かんと、ちゃんと教えてや。」
槇　「では、来年の春までには調べておきます。」
社長「手を打つのに間にあわんがな。わしのレベルで分かるように説明してくれたら、昼ご飯おご
　　　　るで。」
槇　「それを早く言ってください。来年の春から再来年の三月末までは当座、普通は全額保護されて、
　　　　定期預金は、１０００万円まではＯＫですわ。１５年つまり再来年の４月から本格的になって当座、
　　　　普通、定期預金ひっくるめて１０００万円まで大丈夫です。そやけど、この程度のことは新聞に全
　　　　部書いてますで。」
社長「わしが毎日読んでいるサンケイスポーツには書いてないで。それにしても、知ってるんやったら
　　　　スッと喋ったらエエのに。昼飯は牛丼でエエか。」
槇　「肉食は、和牛ステーキしかアカンって、医者に止められてますねん。」
社長「そんな医者おるかいな。」
槇　「社長の会社の預金は全部普通預金でしたから、平成１５年３月までは大丈夫ということですわ。
　　　　ペイオフのことはしばらく心配ない、ということですわ。」
社長「定期預金に固めたら、利息はほとんど無いのに、使うときは銀行に気を使わんとアカンからな。
　　　　まー、一番安心なんわ、槇さんのように銀行に預けんこっちやな。」
槇　「それ、私がお金を持ってないと言う意味ですか。」
社長「何と頭が冴えてるやないか！」
槇　「いじけてきたから、牛丼の並でよろしいわ。」
社長「そうか、今から一緒に行こか。漬物と味噌汁も追加するわ。」
槇　「おおきに。嬉しくて涙が出そうですわ。」