部長ブチョウへのアドバイス　　その４（私募債シボサイ）

私ワタシが京橋キョウバシにあるエグザスというスポーツクラブのプールヘ通い始めてもう３ヶ月以上たちました。

京橋キョウバシには、もう一件イッケン、ティップネスというスポーツクラブもあります。

実際ジッサイに使ツカってみないと分ワからないので、両方リョウホウとも体験タイケン入会ニュウカイをしてみました。

ティップネスのプールは、太陽タイヨウの光ヒカリが入ハイってきて明アカるいのは気キに入イったのですが、

プールの壁に「当クラブでは、トップレス禁止」と書いてあるではありませんか。

何ナンと言イう時代ジダイ錯誤サクゴの禁止キンシ規定キテイでありましょうか。

五十肩ゴジュウカタを直ナオしたいという目的モクテキでプールで泳オヨぎに行イくのですが、トップレスの美女ビジョが隣トナリのコースに

いれば直ナオりが早ハヤくなること間違マチガい無ナしなのに、何ナンと言イうこっちやと即座ソクザにティップネスをやめ、

エグザスに決定ケッテイしました。しかし、残念ザンネンなことにエグザスでは禁止キンシされていないのに一度イチドもトップ

レスの女性ジョセイは見当ミアたりません。

そのためか私ワタシの五十肩ゴジュウカタはいまだに完治カンチしておりません。

腕ウデが太フトく、胸板ムナイタ厚アツい営業エイギョウ部長ブチョウさんが、

「まいどおおきにー。」と大きな声を出しながら当事務所に

勢い良く入ってこられました。

社長の息子さんで次期社長のホープであります。

この部長ブチョウさんはスポーツなら何ナンでも好スきと言イうだけあって体カラダが大オオきく筋骨キンコツ隆々リュウリュウで

逞タクマしい方カタであります。身長シンチョウは１８０ｃｍ、体重タイジュウ１００キロ以上イジョウ、胸囲キョウイ１００ｃｍ以上イジョウは

十分あります。飲み屋さんに行くと女性を腕にぶら下げるのが一番お気に入りの

パフォーマンスです。

部ブ長チョウ　「お得意トクイさんから社債シャサイを買カってくれって言イわれて困コマってますねん。社長シャチョウは大事ダイジな取引トリヒキ先サキ

やから慎重シンチョウに考カンガえやって言イうだけですんや。」

槇マキ　　「どこの会社カイシャの社債シャサイですか？」

部長ブチョウ　「そのお得意トクイさんの会社カイシャが発行ハッコウする社債シャサイです。」

槇マキ　　「ああ、私募債シボサイやねー。最近サイキン銀行ギンコウの貸し渋カシシブりの対抗タイコウ策サクで私募債シボサイが良ヨく発行ハッコウされてますんや。」

部長ブチョウ　「へー、私募債シボサイって言イうんですか。」

槇マキ　　「そうです。この前マエにテレビでもやってましたで。たいていは親オヤ、親戚シンセキ、友人ユウジン、それから

取引トリヒキ先サキに資金シキンをだしてもらう、つまり無担保ムタンポでお金カネを借カりる方法ホウホウの一ヒトつです。」

部長ブチョウ　「そうでっか、なるほど。で、社長シャチョウの腹ハラの内ウチは、先方センポウの会社カイシャの決算書ケッサンショを見ミて我ワが社シャよりええ

会社やったら利息リソクも５％で今時イマドキ高タカいし、買カってもええと言イうことやと思オモいますねん。」

槇マキ　　「ひょっとしてその判断ハンダンを私ワタシにと言イうことではありませんよね。」

部長ブチョウ　「さすがに読ヨみが早ハヤいですなー。全マッタくその通トオりです。それで、これが先方センポウの決算書ケッサンショです

んや。」

槇マキ　　「１イッ期分キブンの決算書ケッサンショだけでは分ワかりませんからねー。」

部長ブチョウ　「5期分キブンそろってますねん。」

槇マキ　　「そんなに揃ソロえんでもええのにー。

それに急に言われてもすぐには無理ですよ。」

部長ブチョウ　「いやいや、じっくりでよろしいんや。

先方センポウが言イうには申し込みは来月の末でええそうです。」

槇マキ　　「残念ザンネンですねー。来月ライゲツの末マツまで豪華ゴウカ客船キャクセン世界セカイ

3分の１周の旅にでかけますから無理ですなー。」

部長ブチョウ　「ほうーそうでっか、そら結構ケッコウなことですな。私ワタシ、最近サイキンプロレスが大好ダイスきになって

いろんな技ワザを練習中レンシュウチュウですんや。旅行リョコウへ行イかれる前マエに二フタつ三ミッつ技ワザをかけさせて貰モラえませんか。」

槇マキ　　「まあまあ、最近サイキンややこしい仕事シゴトが欲ホしかったところですんや。その決算書ケッサンショは、今イマすぐ見ミさせて

もらいますから、ちょっと外の廊下で腕立ウデタて伏フせでもして待マっててください。」

部長ブチョウ　「そんな恥ハずかしいことできませんがな。そやけどスクワットを３００回カイ位クライしときますから

その間アイダに頼タノみまっせ。」

槇マキ　　「どっちも恥ハずかしいと感カンじませんか。」

部長ブチョウ　「何ナニか寝言ネゴトを言イわれましたか。」

槇マキ　　「いえいえ、どうぞ気キの済スむまで運動ウンドウしてて下クダさい。」

腕立ウデタて伏フせもスクワットもどっちもスーツを着キて廊下ロウカでやってたら、けったいです。しかし、技をかけら

れては体が幾つあっても足りませんので、冷静レイセイな税理士ゼイリシとしては「おかしいですよ。」と指摘シテキしませんで

した。ちょうどこのホームページ製作者の和田さんが事務ジム所ショにいたので、５期キ分ブンの決算書ケッサンショを見ミてもらい

ました。

槇マキ　　「この会社カイシャの決算ケッサンどないやろ。」

和田ワダ　「利益リエキは出デてる形カタチになってるけど、９割以上ワリイジョウの確率カクリツで粉飾フンショクしてるで。」

槇マキ　　「何ナンで分ワかるの？」

和田ワダ　「売上ウリアゲが毎年マイネン減ヘってるのに、売掛ウリカケ金キンが５割ワリほど増フえてるし、在庫ザイコも

６０００万円ほど増フえてる。買掛金カイカケキンは逆ギャクに４割ワリほど減ヘってるしなー。

これだけでも十分おかしいやろ。まあ、キャッシュフロー計算書ケイサンショを

三期分作ったらもう少しはっきりすると思うけどな。」

槇マキ　　「おおきに、よう分ワかったがな。あの部長ブチョウにヘッドロックかけられたら、

肩こりは直ナオるかも知シれんけど首クビの骨ホネは折オられるやろから早ハヤいとこ

報告しまっさ。」

部長ブチョウ　「呼ヨんでもらわんでも結構ケッコウです。こんな狭セマい事務ジム所ショの外ソトにいてたら

今の話まるまる聞こえてますがな。そやけどこの会社カイシャはそんなに危ない

ですか。社長が、老舗の会社で安心アンシンやからもっと売り込めって言ってました

けど、一度興信所にかけてみますわ。しかし、先生のところへ来てよかった

ですわ。社長シャチョウに聞キきに行イって来コいって言イわれたときは、当アてにしてなかったけど。

そやけど、先生センセイと違チガってスタッフの人ヒトは優秀ユウシュウですなぁ。」

槇マキ　　「そんなに褒ホめてもろても、ねぇ。嬉ウレしいような悲カナしいような。」

部長ブチョウ　「まあ、ヘッドロックは次のお楽しみということにして、世界セカイ３分ブンの１周シュウを楽タノしんできて

ください。おおきに、さいならー。」　と嵐のような騒がしさと恐怖心キョウフシンを残して、部長が帰られました。

プールへこっそり行イこうと書類ショルイかばんにゴーグルと海水カイスイパンツを入イれながら

首を折られなくて喜ぶべきか、スタッフを褒められて喜ぶべきか、複雑な

気持キモちでありました。